ブックレビュー社
HIV感染者の苦境とそれを打破しようとする医療関係者の姿が描かれている
エイズが騒がれ始めたとき,医療現場は混乱していた。患者が病にばかりでなく差別や偏見,プライバシーの侵害にもさらされていたからだ。彼らを守るはずの医師が,逆にこの第2の苦しみの原因を作ってしまった例も少なくなかった。そして診療拒否という最悪の事態も発生し続けた。
エイズが騒がれ始めたとき,医療現場は混乱していた。患者が病にばかりでなく差別や偏見,プライバシーの侵害にもさらされていたからだ。彼らを守るはずの医師が,逆にこの第2の苦しみの原因を作ってしまった例も少なくなかった。そして診療拒否という最悪の事態も発生し続けた。
著者は,患者のために立ちあがった一人の医師に出会う。彼の診療姿勢を見つめながら,エイズ患者を守りきれない医療現場の弱さを際立たせていく。訪問診療にも同行,積極的に患者の声に耳を傾け続けた。大分を中心とする市民運動にも目を向け,日本の医療そのものが抱える問題に迫っていく。そして,HIV感染者の叫びにこたえようとする医療関係者にインタビューし,彼らの試みの広がりに期待する形で終わっている。取材相手は100人を超えていた。
著者自身の耳に届いたもの,目に焼きついたもの,心に響いたもの――それらを凝縮したのが本書のタイトル「あたり前の医療がほしい」だった。エイズ問題を正しく理解するためにも貴重な一冊である。 (ブックレビュー社)
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内容(「BOOK」データベースより)
本書は、エイズ医療の改革に取り組む医療者の活動と、感染者を支える地域のネットワークをテーマに、取材地は九州から北海道にまでおよぶ。地方在住のHIV感染者と家族や友人、それぞれの立場からエイズという病気が抱える課題と向き合い、感染者に寄り添ってきた人々、地域ぐるみで感染者の診療に取り組む医療者の声を、そのままのかたちで伝えた。
内容(「MARC」データベースより)
仲間や家族に支えられ今を生き抜こうとする病者がいる。その願いをまっすぐに受けとめた医療者がいる。エイズ医療の改革に取り組む医療者の活動と、感染者を支える地域のネットワークをまとめる。〈ソフトカバー〉